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ロボット、AI、そして深呼吸――ウェルビーイングを支える最新技術が集結した展示会をリポート

公開日: 2026年02月09日
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2026年1月28日~30日まで、東京ビッグサイトで開催された「WELL-BEING TECHNOLOGY 2026」のリポートをお届けします。

テクノロジー分野からウェルビーイングに取り組む

“ウェルビーイング”という言葉をご存知でしょうか? well(よい)とbeing(状態)というふたつの単語から成る言葉で、文部科学省では「身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義などの将来にわたる 持続的な幸福を含む概念」(※1)と定義しています。

このウェルビーイングについて、テクノロジー分野からの貢献を目的とした製品・サービスの展示会「WELL-BEING TECHNOLOGY 2026」が、2026年1月28日~30日まで、東京ビッグサイトで開催されました。

「健康・医療に関する悩みや疑問の癒しや解決のヒントになるコンテンツの提供」をテーマにしている病院なび MediQAにとっても、ウェルビーイングは決して無関係ではないテーマ。MediQA編集部・取材班でも会場取材に赴きました。

※1 ウェルビーイングの向上について(次期教育振興基本計画における方向性)

高齢者のリモートワークをロボットで支援!

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会場をまわるなかで編集部がまず注目したのは、高齢者に向けたサービス、製品に関する展示。高齢社会になって久しい日本において、高齢者がいかに働き、生きるかというテーマは、ウェルビーイングに直結する課題と言っていいでしょう。

筑波大学を中心に、静岡大学、千葉工業大学、人間生活工学研究センターが連携して取り組む“HappyWorkプロジェクト”は、遠隔操作によるロボットを使ったリモートワークを通して、高齢者の就労環境を支援する取り組み。

このプロジェクトで使われるのはTemiと呼ばれる遠隔操作が可能なロボット。本体の高さは成人男性の腰より少し上くらいで、前面にはモニターが付属しており、ロボットを操作する側と利用する側で双方向のコミュニケーションできるのが特徴。遠隔にいながらまるで対面でサービスを行っているような環境を実現してくれます。

また、PC操作に慣れていない高齢者のことを考えて、ロボットの操作は可能な限りシンプルになっているとのことです。今回の取材では会場のTemiを通じて、操作している女性(操作しているのは静岡大学の研究室)にお話を聞くこともできたので、操作の難度について聞いてみたところ「1度説明を受ければ問題なく操作できます。オートマのクルマを運転する感じが近いかもしれません」との回答が。ちなみにこの女性、ふだんはPCを操作することはないそうですが、会話内容に合わせて首をふるようにモニターを動かしたりと、すっかり使いこなしている印象でした。

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※画像の一部を編集部で加工しています

Temiの導入イメージとしてはガイドが必要な展示場、企業や施設の受付業務を想定しているとのこと。なお、HappyWorkプロジェクトでは高齢者のコミュニティ創出にも意識を向けており、Temiの操作こそリモートで行うものの、就労場所は自宅ではなくいっしょに働く人が集う、近くの寄合い所のようなオフィス環境を考えているそうです。

関連リンク:「誰もがいつまでもhappy work可能なバーチャル空間構築」ホームページ

アバターとのコミュニケーションで認知症を早期発見!?

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名古屋工業大学ヘルシーエイジング 社会創造プロジェクトが出展していたのは、AI/アバターロボットを使って認知症の兆候の早期発見を目指すシステム。

日本における認知症検査としては、設問に対する回答内容から認知機能の検査を行う“長谷川式認知症スケール(HDS-R)”が広く知られていますが、名古屋工業大学ヘルシーエイジング 社会創造プロジェクトでは回答の“思考”に加えて、音声・視覚・触覚にも着目しました。

このシステムでは、AIが会話のテーマをリアルタイムで作成し、アバターロボットを通じて利用者にさまざまな質問を投げかけてきます。アバターロボットの側にはカメラも設置されており、会話の内容に加えて、回答しているときの表情や発声の調子もチェック。さらにテニスボール大の触覚デバイスも用意されており、会話の内容に応じて同デバイスが振動して利用者の触覚を刺激するとともに、会話中にセンサーをどう触っていたかといった情報も収集してくるそうです。

記者も実際に体験してみましたが、AIとの会話は「今日はどんな調子?」「好きな食べ物ってなに」など日常会話の延長で、検査されている感じがしないのが印象的。また、アバターロボットの存在もキュートで、まるでペットロボットと接しているような感覚になりました。楽しみながら認知症の早期発見にもつながる取り組みだけに今後、より注目が集まりそうです。

関連リンク「名古屋工業大学 情報工学専攻 加藤昇平研究室」ホームページ

独自機器を使った企業向けの眼科検診

独自機器を使った企業向けの眼科検診

ウェルビーイングでは働く環境の充実も課題のひとつ。会場では企業に所属する社員向けの取り組みや、業務中のリラックスをテーマにした出展も見られました。

株式会社OUIが出展していた“Mobile Eye Scan”は企業向けの訪問型眼科検診。企業に義務付けられている定期健康診断にも目の検査は含まれていますが、このMobile Eye Scanでは眼科検診に特化している点が特徴となっています。

法定健診項目(視力検査、眼圧測定、眼底写真)ではカバーされない、屈折・眼位検査、細隙灯顕微鏡検査などを含む眼科ドックにも対応。自社開発した眼科検査機器、クラウドシステムの連携によるアフターフォローの充実も特徴となっているそうです。

関連リンク:「Mobile Eye Scan」公式サイト

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こちらが自社開発した眼科検査機器。コンパクトなサイズでスマートフォン本体に装着して利用します。

深呼吸でウェルビーイングな毎日を実現

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深呼吸を促すデバイス「シンコキュウ」

長時間PCと向き合うデスクワークでは、リラックスの時間を意識的に設けることも大切です。実際、PCやスマートフォンなとの画面を注視しているあいだに、呼吸か浅くなったり一時的に止まってしまう“スクリーン無呼吸症候群”と呼ばれる症状もあるんだとか。

“シンコキュウ”はそんなデスクワーク中を始めとした生活シーンにおける“深呼吸”の効果に着目して開発されたデバイス。

シンコキュウは半球を上下に重ねたようなデザインになっていて、これが穏やかなサウンドに合わせてゆっくりと上下します。常に動作をしているわけではなく、定期的に動作をする仕組みになっているため、デスクなどに置いておくことで自然と利用者の深呼吸を促してくれます。

会場では開発した三好賢聖氏に話も聞くことができ、シンコキュウは他者や物体の動きに無意識のうちに共感し、真似てしまう“運動共感”という習性が応用されているとのこと。記者も実際にシンコキュウを体験させてもらったが、上下する本体を眺めているといつの間にかそのゆったりとしたリズムに自身の呼吸が同期する感覚を味わうことができました。

なお、シンコキュウには複数のモードが用意されています。前述したスクリーン無呼吸症候群の対策におすすめな“フォーカスモード、心を落ち着けたいときのための“リラックスモード”、就寝時の“寝落ちモード”の3つで、生活シーンに合わせて利用できそうですね。

関連リンク:「シンコキュウ」公式サイト

着実に広がるウェルビーイングを支える取り組み

医療や健康というと「不調が起きてから対処するもの」というイメージを持つ人も少なくありません。

しかし今回の展示からは、不調になる前の段階で支える技術や仕組みが、着実に広がっていることが感じられました。

病院なび MediQAとしても、こうした“予防”や“日常の健康づくり”につながる動きに今後も注目し、読者にとって身近な形で伝えていきたいと思います。

※記事の内容は記載当時の情報であり、現在と異なる場合があります。