「更年期のせい」で片付けないで…動悸・息切れに隠れた「心臓のサイン」と「ホルモンの乱れ」は?【医師解説】

そこで今回は、自由が丘ルミナスクリニック院長で内科・循環器の専門医である早田輝子医師に女性の更年期障害について対策などを解説してもらいました。
医師紹介
自由が丘ルミナスクリニック院長。循環器専門医・総合内科専門医・医学博士。25年以上の臨床経験をもとに、心臓・血管の専門性と女性ホルモンの知見を融合した診療を行う。更年期症状や原因不明の不調に対し、「どこに相談すればよいかわからない」方の受け皿として総合的にサポート。医療の枠を超え、女性が自分らしく輝くための発信にも力を入れている。
目次
そもそも「更年期」とはどのような状態?
更年期とは、閉経をはさんだ前後約10年間(一般的には45~55歳ごろ)を指します。この時期は女性ホルモンであるエストロゲンが大きく変動しながら低下していきます。
重要なのは、単純に「減る」のではなく「大きく揺れながら減る」という点です。この変動が自律神経に影響を与え、さまざまな不調を引き起こします。
体のだるさや気分の落ち込み、動悸、ほてりなどは、このホルモン変動と密接に関係しています。
更年期は誰にでも訪れる自然な変化ですが、その現れ方やつらさの程度には個人差があります。
「更年期障害」の代表的な症状とは?
更年期障害の症状は多岐にわたり、身体症状と精神症状の両方が見られます。
代表的なものとしては、ホットフラッシュ(ほてり・発汗)、動悸、息切れ、疲労感、不眠などがあります。また、イライラや不安感、気分の落ち込みといった精神的な症状も少なくありません。
循環器の視点でとくに注意したいのは、動悸や息切れです。これらは更年期の症状としてよく見られますが、同時に心疾患のサインである可能性もあるため、慎重な見極めが必要です。
症状が多様であるため、「これがあれば更年期障害」と一概に言えない点も特徴です。
「更年期障害」になりやすいのはどんな人?
更年期障害のなりやすさには個人差がありますが、ストレスの影響を受けやすい方や、真面目で頑張りすぎてしまう方は症状が出やすい傾向があります。
また、睡眠不足や運動不足、栄養バランスの偏りなど生活習慣も大きく関与します。
一方、同じ年齢でもほとんど症状を感じない方もいらっしゃいます。これは体質やホルモン変動の幅、自律神経の安定性などが関係しています。
つまり、更年期障害は「誰にでも起こるもの」ではありますが「誰もが強く悩まされるものではない」という点も重要です。
「更年期障害」は治療が可能?
「更年期障害」は適切な治療やケアによって症状の改善が期待できます。
代表的な治療としては、ホルモン補充療法(HRT)があり、エストロゲンの低下を補うことで症状を軽減します。また、漢方薬やサプリメント、生活習慣の改善も有効です。
近年では、症状やライフスタイルに合わせたオーダーメイドの治療が重視されており、「我慢するもの」ではなく「整えるもの」と考えられるようになってきています。
医師と相談しながら、自分に合った方法を選択することが大切です。
「更年期障害」と思っていたら、じつは重大な疾患の可能性も…
臨床の現場では、「更年期障害」かと思っていたら、じつは重大な疾患を抱えていた……というケースも少なくありません。
たとえば、動悸や息切れを更年期と思っていたら不整脈や心不全だった、というケースや、強い疲労感の背景に貧血や甲状腺疾患が見つかることもあります。
更年期障害の症状とほかの疾患は重なる部分が多いため、「年齢的に更年期だから」と自己判断してしまうと、重要なサインを見逃す可能性があります。
症状が長引く場合や、これまでにない強い症状が出た場合は、一度医療機関での評価を受けることをおすすめします。
「更年期障害」での受診目安は?
更年期の症状は、なんとなく不調を感じ始めた段階での相談をおすすめします。
早めに対処することで症状の悪化を防いだり、より快適に日常生活を送ることにつながります。また、ホルモン補充療法や漢方、サプリメント、生活習慣の見直しなど、症状に応じたさまざまな対処法がありますので、我慢せず医療機関へご相談ください。
なお、以下のような症状が現れている場合はとくに早めの受診をおすすめします。
・階段での息切れが強くなった
・動悸が頻繁に起こる
・眠れない状態が続いている
そのほか、「いつもと違う症状」「急に悪化した症状」「胸の痛みや圧迫感を伴う場合」なども受診が必要です。
更年期の症状は、ホルモンの問題だけでなく、循環器疾患など他の要因が関わっていることもあります。
当院では、循環器専門医として動悸や息切れの原因をしっかりと精査した上で、必要に応じてホルモン補充療法や生活改善のご提案を行っています。「内科に行くべきか、婦人科に行くべきか迷う」といった方にも、総合的な視点でサポートするようにしています。
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