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マスクをしたまま寝てもいいの?のどの乾燥・花粉・感染対策として本当に効果はあるのか【医師解説】

公開日: 2026年04月24日
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「寝るときにマスクをすると、のどにいい」。そんな話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。一方で息苦しさや、睡眠への悪影響を懸念する声もあります。

実際のところ、就寝時のマスクにはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。林外科・内科クリニックの林裕章理事長に解説してもらいました。

医師紹介

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林 裕章理事長
日本外科学会外科専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本骨粗鬆症学会認定医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定スポーツ医

国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。現在、外科医の父と放射線科医の妻と、その人その人に合った「人」を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営しており、医療・介護の両面から地域のかかりつけ医として総合診療を行っている。また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。

「マスクしながら寝る」ことのメリットを教えてください

睡眠中にマスクを着用する最大のメリットは、口腔・鼻腔内の湿度を保てることです。季節や年齢によって変動はありますが、人間は多いときで1日に約500ml(ペットボトル1本分!)もの水分を、呼気として吐き出すと言われています。

寝ているあいだのマスクは、いわば「自分の呼気で作るプライベート加湿器」。部屋全体の加湿器が追いつかない乾燥した夜でも、口元だけは湿度を高くキープできる有効なツールです。

とくに口呼吸の方や、冬場・エアコン使用時など乾燥した環境では、喉や鼻の粘膜が傷つきやすくなり、ウイルスや細菌への防御機能が低下します。マスクをすることで呼気の水分が内側にとどまり、就寝中の乾燥から粘膜を守る効果が期待できます。

ただし、口腔の乾燥の原因としてアレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲、いびき、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、薬剤性口渇などの存在が隠れていることがありますので、朝の口渇が強い人は、一度耳鼻咽喉科などを受診することをおすすめします。

また、花粉症やアレルギー性鼻炎の方にとっては、就寝中の花粉・ハウスダスト・ダニの死骸などの吸入を軽減でき、症状がひどい時期には、朝起きた瞬間のくしゃみや鼻水を減らす助けになることがあります(ただし、寝室アレルゲン対策の本命は、寝具カバー、寝具洗濯、湿度管理、掃除、ペット・カビ対策などです)。

さらに、同居する家族に感染症をうつさないための感染対策としても一定の意義があります。

とくに家族が免疫の弱い高齢者や乳幼児の場合、感染者本人が就寝中もマスクをすることで、飛沫拡散を抑制できます。

枕の高さで喉の乾燥が変わる?

枕が高すぎると顎が引けて口が開きやすくなり、逆に低すぎると鼻粘膜が充血して鼻が詰まりやすくなります。喉の乾燥が気になる人は、マスクを試すのと同時に、頭が少し上がる程度の「適切な枕の高さ」を見直すだけで、口呼吸がピタッと止まることもありますよ。

「マスクしながら寝る」ことのデメリットを教えてください

まず、二酸化炭素(CO2)と睡眠の質です。

密閉性の高い不織布マスクで寝ると、自分が吐いたCO2を再び吸い込む割合が増えます。これにより血中のCO2濃度がわずかに上昇し、脳が「息苦しい」と判断して中途覚醒(眠りが浅くなる)を引き起こす可能性があります。

つぎに、皮膚トラブルのリスクです。就寝中は汗をかきやすく、マスク内が高温多湿になることで、ニキビ・かぶれ・摩擦による肌荒れが起きやすくなります。マスクの素材や締め付けによっては、耳や頬に痛みが生じることもあります。

また、とくに乳幼児では寝返りや寝相によってマスクがずれ、鼻や口を覆えなくなるだけでなく、最悪の場合は紐が首に絡まる可能性があります。

また熱中症のリスクもゼロではないので2歳未満の睡眠時のマスク着用は絶対に避けてください。

ほかには、息苦しさや不快感で眠りの質が下がる人はいます。

加えて、いびきをかく人や就寝中に呼吸が止まることがある人は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。

そのような場合、マスクが空気の流れを阻害して不快感や息苦しさにつながる可能性もあるため、マスクをせずにまず医師へ相談してみましょう。

「口テープ」という選択肢もアリ

最近の耳鼻咽喉科のトレンドとして、マスクよりも「口閉じテープ」を推奨するケースが増えています。口を強制的に閉じることで、人間本来の高性能フィルターである「鼻呼吸」を促す方法です。

鼻呼吸ができれば、マスクなしでも天然の加湿・除菌システムが作動します。ただし、鼻詰まりがある人がやると窒息感が出るので、必ず鼻が通っていることが条件です。

就寝時のマスクで注意すべきこと、おすすめの付け方

就寝時にマスクをする場合は、以下の点を意識してください。

まず、素材選びが最重要です。 不織布マスクよりも、ガーゼ素材や綿素材の布マスクがおすすめです。感染対策としては少し劣りますが、通気性が高く、肌への刺激が少ないです。「のど潤いマスク」などの保湿特化型マスクも選択肢のひとつです。

また最近は「シルク(絹)」素材の就寝用マスクも非常に優秀と言われています。吸放湿性に優れ、肌の成分に近いタンパク質でできているため、摩擦による「マスク肝斑(シミ)」や肌荒れを防ぐ効果が高いです。

つぎに、フィットさせすぎないことも意識しましょう。

就寝時は、日中のようにぴったり密着させる必要はありません。鼻と口を覆いながらも、少し余裕のある着け方が理想です。

耳紐がきつい場合は、マスクバンドや紐延長アイテムを使うと耳への負担が減ります。

就寝時マスクが特に有効なのは、

1.乾燥が強い季節に喉の痛みを繰り返す方
2.花粉症でシーズン中に朝の症状がひどい方
3.感染症罹患中で同居家族への配慮が必要な方

です。

一方で、2歳未満の乳幼児・睡眠時無呼吸の既往がある方・マスクで強い息苦しさを感じる方は就寝中の着用を避けてください。

少しでも違和感や睡眠の質の低下を感じた場合は、就寝時マスクを中止して、代わりに加湿器の使用や寝室の湿度管理(目安:50〜60%)で対応することをおすすめします。

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※記事の内容は記載当時の情報であり、現在と異なる場合があります。