美容外科への「直美」医師の半数が懸念。アンケート調査で「臨床能力が不十分になる」最多

目次
医療界で議論の的になっている「直美」とは?
医学部を卒業した医師は、原則として2年間の初期臨床研修を受けたあと、内科や外科などの診療科に進み専門研修を積んでいきます。しかし近年、初期研修を終えたあと一般診療科には進まず、自由診療を中心とする美容外科へ直接就職する、通称「直美(ちょくび)」の増加が指摘されています。
厚生労働省の社会保障審議会でも「多くの若手医師が美容外科に流れ、病院の医師不足の要因になっていることが大きな問題」(※)と言及されるなど、医療界で議論の的になっています。
直美が増えることで臨床経験の不足や、自由診療に伴うトラブルの増加といった点が懸念される一方、医師のキャリア選択は個人の自由だとする声もあります。
そこで今回、病院なび MediQA編集部では現役医師を対象に「直美」についての考えをアンケート調査しました。
医師たちはこの現状をどのように見ているのでしょうか。
医師の約半数が「臨床能力が不十分になる」と懸念
今回のアンケートでは「直美」に対する意見について、選択肢の中から“あてはまるものをすべて”選ぶという形式で実施しました(有効回答数70件)。

調査対象 :eヘルスケアの医師向けサービス「Doctors Square」登録会員医師
調査方法 :インターネットアンケート
調査期間 :2026年2月2日 (月)~2026年3月5日 (木)
有効回答数:70件
もっとも多かったのは「臨床能力が不十分になる」という意見で、全体の半数となる50%の回答率でした。また「専門的研鑽の機会を失う」も43%の票が集まっており、「直美」が医師としての経験・成長につながるかどうかを懸念する医師が多いことがわかります。
医師のコメント
- これから先、20年、30年と美容外科をやっていく覚悟があるならいいですが、目先のことだけを考えての行動はあとで後悔すると思います(リハビリテーション科)
- 最初は良いとして、5年後、10年後はどうするのかが心配です(耳鼻いんこう科)
- 直美でキャリアをスタートさせると「潰しがきかない」ことになる。転科が難しいだろうし、長い医師人生で困ることもあるのではないか…(内科)
「直美」を容認、妥当とする意見も
一方で「現行制度ではやむを得ない(26%)」、「個人の選択として尊重(21%)」、「労働環境を考慮すれば妥当(3%)」といった「直美」を容認あるいは医療界の現状を鑑みたうえで妥当とする回答も見られました。
医師のコメント
- 医師だってラクしたいのは本音だと思います(内科)
- デメリットは多いと思いますが、最終的には自己責任でしょう(総合内科)
- 医師を続けている中で、医師自体、多くを犠牲にしていると思えてきた。それを嫌がる人が出てくるのは当然の流れだと思う(内科)
まとめ
今回のアンケートでは、「臨床能力が不十分になる」「専門的研鑽の機会を失う」など、若手医師が早期に美容医療へ進むことに懸念を示す声が多く寄せられました。一方で、医師のキャリア選択は個人の自由であり、医療界の労働環境や制度の問題も背景にあるのではないかとする意見もみられました。
美容医療の市場拡大とともに、「直美」をめぐる議論は今後も続いていくとみられます。若手医師のキャリア形成と医療体制のあり方をどう考えるべきか、医療界全体での議論が求められているのかもしれません。
