病院・薬局検索の病院なび

コーヒーが認知症のリスクを低下させる可能性。1日2~3杯で18%リスク減、ノンカフェインは効果認められず

公開日: 2026年02月16日
アイキャッチ画像
アメリカのハーバード大学は2026年2月9日、カフェインが含まれたコーヒーを多く摂取した人は、認知症のリスクが低く、加齢による認知機能の低下が緩やかになっていたことが示されたと発表しました。具体的にはカフェインが入ったコーヒーを毎日2〜3杯飲んだ場合が、最も認知症のリスクが低く、加齢による認知機能の低下が緩やかになっていたといいます。

今回の研究成果に関する論文は、アメリカ医師会の臨床雑誌「JAMA」にも掲載(※2)されています。

コーヒーの摂取で認知症リスクが18%減、13万人以上に最長43年間の調査で明らかに

コーヒーにはポリフェノールやカフェインなどの成分が含まれています。これらの成分は、炎症や神経細胞へのダメージを和らげ、認知機能の低下を緩やかにする可能性があることが指摘されています。

ただ、これまでの研究では、コーヒーの摂取と認知症のリスクとの関連性について結論は出ていませんでした。

そこで研究チームは、ハーバード大学などが実施している大規模疫学調査の「看護師健康調査」と「医療従事者追跡調査」を利用して、13万人以上のデータを分析。コーヒーの摂取量と認知症のリスク、本人が主観的に感じる認知機能の低下、第三者が客観的に評価する認知機能などとの関連性を調べました。

なお、看護師健康調査からの参加者は女性8万6,606名で平均年齢は46.2歳でした。医療従事者追跡調査からの参加者は男性4万5,215名で平均年齢は53.8歳でした。そしてこれらの参加者について最長で43年間にわたって追跡調査がおこなわれ、1万1,033名が認知症を発症しました

分析の結果、カフェインが含まれたコーヒーを最も多く摂取した参加者のグループは、カフェインが含まれたコーヒーを最も少なく摂取した参加者のグループやカフェインを含まないコーヒーを摂取した参加者のグループに比べて、認知症のリスクが18%低いことがわかりました。カフェインが含まれたコーヒーを多く摂取した参加者のグループほど認知症のリスクが低くなる傾向がみられたといいます。

また、カフェインが含まれたコーヒーを多く摂取した参加者のグループほど、本人が主観的に感じる認知機能の低下が緩やかになっている傾向もみられました。さらに、カフェインが含まれたコーヒーを多く摂取した参加者のグループほど、いくつかの評価基準で、第三者が客観的に評価する認知機能のパフォーマンスがよくなる傾向もみられました。

紅茶にも効果、一方ノンカフェインは効果認められず

同様の結果は同時に調べられたカフェインを含む紅茶についても認められました。ただ、カフェインを含まないコーヒーについてはこのような結果は認められませんでした

なお最も認知症のリスクが低かったのは、カフェインを含んだコーヒーで1日2~3杯程度、紅茶で1日1~2杯程度を摂取した場合でした。コーヒーを多く摂取すればするほど認知症のリスクが低下するわけではないことに注意が必要です

以上の結果から研究チームは、カフェインには神経保護作用がある可能性が示唆されるが、因果関係を確定し、そのメカニズムを解明するためには、さらなる研究が必要であると考えています。

今後、認知症の予防にコーヒー・紅茶の活用を検討する方もいるかもしれませんが、持病のある方は必ず主治医の先生に相談したうえで行うのが望ましいでしょう。

■執筆:飯銅重幸(はんどうしげゆき)
サイエンスライター。早稲田大学法学部卒。専門分野は「健康・医療」「宇宙」「古生物」など。これまで、WIRED日本版、ダイヤモンドオンライン、バズフィードジャパン、宇宙へのポータルサイトsorae、財経新聞などで執筆。主に海外の最新の研究成果を大学、研究機関、政府機関などのプレスリリースや論文に基づいて紹介している。ネタだし、翻訳、構成、執筆まで一括して対応する。熊本県在住。座右の銘は「生涯一書生」。

※1.Drinking 2-3 cups of coffee a day tied to lower dementia risk(Harvard Gazette)

※2.Coffee and Tea Intake, Dementia Risk, and Cognitive Function(JAMA)

関連記事

●認知症とは?種類別症状や原因、物忘れとの違いを解説

●認知症の家族の介護者100人アンケート!認知症と診断されるまでの経緯や介護している現在の苦労を聞きました

●軽度認知障害(MCI)からの認知症予防!:【医師監修】その症状、本当にただの物忘れ?

※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。