2年間で老化に約4か月の遅れ――マルチビタミンサプリメントの毎日摂取に関する研究で示唆

今回の研究成果は生物学的年齢に関するものです。生物学的年齢とは、細胞レベルで実際にどれくらい老化が進んでいるかを示す指標のひとつで、暦に基づく暦年齢(実年齢)とは必ずしも一致するとは限りません。
研究チームによると、2年間の追跡調査で、マルチビタミンサプリメントを毎日摂取したグループは、摂取しなかったグループに比べて約4か月、生物学的な老化が遅れていました。
ただ、現段階では、毎日のマルチビタミンサプリメントの摂取と生物学的な老化の遅れとの関連性は確定とまでは言えず、可能性の段階にとどまっていることに注意が必要です。
なお、論文は医学雑誌「Nature Medicine」に掲載されています(※2)。
目次
大規模な臨床試験「COSMOS」のデータを解析
今回の研究は「COSMOS」と呼ばれるハーバード大学などが実施している臨床試験のデータを使って行われました。
COSMOSは、高齢者におけるマルチビタミンサプリメントとココアサプリメントの効果を検証することを目的とし、全米から約2万2,000人(60歳以上の男性約9,000人と65歳以上の女性約1万3,000人)が参加する大規模な臨床試験です。
研究チームはこのCOSMOSのデータから958人(健康な男性476人、健康な女性482人、平均年齢70歳)のデータを無作為に抽出し、マルチビタミンサプリメントだけを毎日摂取するグループ、ココアサプリメントだけを毎日摂取するグループ、マルチビタミンサプリメントとココアサプリメントを毎日摂取するグループ、どちらも摂取しないグループの4つのグループにわけ、2年間にわたって追跡調査。毎日のマルチビタミンサプリメントの摂取と参加者の血液サンプルから推定した生物学的年齢の関連を統計学的に調べました。
マルチビタミンサプリメントを毎日摂取したグループは2年間で生物学的な老化が約4か月遅れていた
すると、マルチビタミンサプリメントを毎日摂取したグループは、そうでないグループに比べて、生物学的な老化が約4か月遅れていたことが示されました。
そして、この生物学的な老化の遅れは、研究のスタート時点で暦年齢よりも生物学的年齢が進んでいた人の方がより遅れる傾向がありました。
なお、今回の研究では、毎日のココアサプリメントの摂取と生物学的年齢との間にこのような関連性は示されませんでした。
ハーバード公衆衛生大学院の疫学者などを務め、今回の研究を主導したハワード・セッソ氏は「多くの人がマルチビタミンサプリメントの摂取よって、どのような健康上のメリットがあるのかわからないまま摂取しています。したがって、摂取によって得られるかもしれない健康上のメリットを、より多く知ることができるようにすることは重要です」と、今回の研究の意義を述べています。
なお、マルチビタミンサプリメントを飲む際には、飲み過ぎるとかえって健康を損なうおそれがありますので、必ず注意書きに従って適量を守るようにしてください。また、この記事は最新の研究成果を紹介するものであり、特定のサプリメントの摂取を推奨するものではありません。
※1.Daily multivitamin may slow biological aging(Harvard Gazette)
■執筆:飯銅重幸(はんどうしげゆき)
サイエンスライター。早稲田大学法学部卒。専門分野は「健康・医療」「宇宙」「古生物」など。これまで、WIRED日本版、ダイヤモンドオンライン、バズフィードジャパン、宇宙へのポータルサイトsorae、財経新聞などで執筆。主に海外の最新の研究成果を大学、研究機関、政府機関などのプレスリリースや論文に基づいて紹介している。ネタだし、翻訳、構成、執筆まで一括して対応する。熊本県在住。座右の銘は「生涯一書生」。
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