その胃の不調「年齢のせい」で済ませて大丈夫?医師が解説する胃がんの初期サインとは

教えてくれたのは、広島DS内視鏡・日帰り手術クリニックの藤解 邦生(とうげ・くにお)院長です。
医師紹介

福岡大学医学部を卒業後、広島大学第一外科入局。関連病院で消化器がんの手術を主に担当。国内屈指の内視鏡検査・肛門手術実績を有する大腸肛門専門病院で勤務。日帰り手術についても実践を重ねた。現職では、不安を抱える内視鏡・手術患者に対し、「真心と醫心」でサポートするチーム医療を実践。不安と真逆の感動体験の提供を理念としている。
目次
胃がんとはどのようながんでしょうか?
胃がんは、胃の内側を覆っている粘膜から発生する悪性腫瘍です。日本人に多い消化器がんの一つで、とくに50歳以上の中高年に多くみられます。発生部位は胃の入り口から出口までさまざまで、主な原因としてピロリ菌感染が知られています。
ピロリ菌による慢性的な炎症が長期間続くことで胃の粘膜が傷つき、がんが発生しやすくなると考えられています。近年は食生活の変化やピロリ菌除菌治療の普及により患者数は減少傾向にありますが、依然として注意が必要ながんです。
胃がんは初期にはほとんど症状が出ないことが多いため、症状の有無にかかわらず定期的な検査が早期発見につながります。
胃がんの代表的な症状を教えてください
胃がんが進行すると、みぞおちの痛みや胃の違和感、胃もたれ、胸やけ、吐き気などの症状が現れることがあります。また、食欲不振や体重減少、貧血、黒色便といった症状がみられる場合もあります。
これらは胃炎や胃潰瘍など、他の胃の病気でも起こるため、症状だけで胃がんかどうかを判断することはできません。特に胃がんは、ある程度進行するまで症状が目立たないことも多く、「年齢のせい」「一時的な体調不良」と考えて受診が遅れるケースもあります。
症状が続いたり、以前と違う変化を感じたりした場合は、早めに医療機関で相談することが大切です。
胃がんの初期症状で見逃されがちな症状や体の異変を教えてください
胃がんの初期には、強い痛みなどの分かりやすい症状が出にくく、日常的な不調として見過ごされがちです。具体的には、次のような症状がみられることがあります。
・軽い胃もたれや胸やけが続く
・食後にお腹が張る、重たく感じる
・少量の食事でもすぐに満腹になる
・以前より食欲が落ちたと感じる
・胃の調子がなんとなく悪い状態が続く
これらはストレスや疲れ、加齢による変化と考えられやすい症状ですが、長期間続く場合は注意が必要です。症状が軽いうちに検査を受けることが、胃がんの早期発見につながります。
一時的な体調不良と胃がんの初期症状を疑ったほうがよい状態の見極め方はありますでしょうか?

胃の不調は、食べ過ぎやストレス、生活習慣の乱れなどによって一時的に起こることも少なくありません。しかし、症状が2〜3週間以上続く場合や、良くなったり悪くなったりを繰り返す場合には注意が必要です。
市販の胃薬を使用しても改善がみられない、以前より食事量が減ってきた、体重が自然に減少しているといった変化がある場合は、単なる体調不良ではない可能性があります。また、「これまでと明らかに違う胃の違和感が続いている」「年齢とともに症状の質が変わってきた」と感じたときも、受診を検討する目安になります。
自己判断で様子を見続けるのではなく、早めに医療機関で検査を受けることが大切です。
初期症状の疑いについて、医療機関へ相談する際に伝えるとよい内容を教えてください
医療機関を受診する際には、現在の症状だけでなく、症状がいつ頃から始まったのか、どのくらいの期間続いているのかを具体的に伝えることが重要です。また、食事との関係や症状が出やすい時間帯、症状の強さの変化、体重や食欲の変化についても伝えると診察の参考になります。
さらに、これまでに胃の病気を指摘されたことがあるか、ピロリ菌検査や除菌治療の経験、健康診断や人間ドックで異常を指摘されたことがあるかなども重要な情報です。気になることを整理して伝えることで、医師が適切な検査や診断を行いやすくなります。
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。
