病院・薬局検索の病院なび

「最近、物忘れが増えた」は要注意?認知症の前段階「MCI」でみられるサインとは

公開日: 2026年08月31日
アイキャッチ画像
「最近、探しものが増えた」「人と会う約束を忘れてしまった」「同じことを何度も聞いてしまう」――。年齢を重ねるにつれて、そんな物忘れが気になることはありませんか?

加齢にともなって物忘れが増えることは珍しくありません。しかし、最近特に物忘れが激しくなったり、家族から頻繁に指摘されたりする場合は、単なる物忘れではなく「軽度認知障害(MCI)」の症状かもしれません。

MCIは「認知症の前段階」とされる状態です。認知症との違いや普段の生活のなかで気づくためのポイントについて、さくらひだまり訪問クリニックの加藤久普院長の監修でご紹介します。

医師紹介

加藤 久普の画像
加藤 久普院長
〒115-0055
東京都北区赤羽西3丁目26-12 ロッソカンパーナ205
Tel.03-6324-8406

さくらひだまり訪問クリニック院長。東京大学理学部、名古屋大学医学部を卒業後、総合病院で内科や救急などの研鑽を積む。その後、慶應義塾大学精神・神経科学教室にて助教を務め、大学病院や都立松沢病院をはじめとする精神科医療の第一線で豊富な臨床経験を重ねる。さらに複数のクリニックで精神科および内科の訪問診療に深く携わった経験を活かし、東京都北区に当院を開院。現在は心身両面から地域に根ざした訪問診療を行っている。

認知症の前段階「MCI」とは?

軽度認知障害(MCI)とは、物忘れなどの記憶障害はあるものの、日常生活にはほとんど支障がなく、認知症の診断基準は満たしていない状態です。

MCIの特徴として、次のようなものが挙げられます。

・ほかの同年代の人に比べて、物忘れの程度が強い
・本人や家族に、同年代より物忘れが多いという自覚(認識)がある
・日常生活にはそれほど大きな支障をきたしていない
・物忘れがなくても、高次機能の障害が1つある

高次機能の障害には、言葉を理解したり話したりすることが難しくなる「失語」、対象を正しく認識できなくなる「失認」、服を着る、お茶を入れるといった動作ができなくなる「失行」、計画を立ててその通りに実行することが難しくなる「実行機能障害」などがあります。

MCIになると、必ず認知症になる?

MCIは多くの場合、認知症に進展するとされており、年間で10~15%が認知症に移行するという報告もあります。

ただし、MCIになったからといって、すぐに認知症になるというわけではありません。

早期にMCIを発見して治療や対策を行うことで、認知症の発症を予防・遅延させるだけでなく、健常な状態に回復するケースがあることもわかってきています。

そのため、「まだ日常生活には困っていないから大丈夫」と考えるのではなく、認知症になる前の段階で変化に気づくことが重要です。

「同じことを何度も聞く」「探しものが増えた」もサイン?

では、普段の生活ではどのような変化に注意すればよいのでしょうか。

物忘れの傾向を確認する簡易チェックとして、次のような項目があります。

・今何をしようとしていたか簡単に思い出せない
・同じことを何度も言ったり尋ねたりする
・人と会う約束を忘れたことがある
・探しものが増えている
・何かやろうとしても「まあいいか」と思ってしまう
・長年の趣味を楽しめなくなってきた
・外出することが減った
・段取りが下手になった
・レジで小銭を出すのにひどく時間がかかる(または、計算が面倒になった)
・今日の日付がパッと出てこないことが増えた

物忘れというと、「人の名前が出てこない」「ものをどこに置いたか忘れる」といった記憶に関する変化をイメージしがちです。

しかし、注意したい変化はそれだけではありません。約束を忘れる、段取りがうまくできなくなることに加えて、「趣味を楽しめなくなった」「外出が減った」といった変化もチェック項目に含まれています。

精神医学の視点では、これらの変化は「意欲の低下(アパシー)」や「うつ状態」のサインでもあります。物忘れよりも先にこれらの症状が現れることも多いため、注意が必要です。

このうち2~3個以上当てはまる場合は物忘れの傾向があり、MCIである可能性も考えられます。

ただし、これはあくまでも簡易的なチェックであり、チェックだけでMCIと判断することはできません。MCIかどうかを正確に診断するためには、専門家による診察が必要です。

年齢を重ねれば、多少の物忘れは誰にでも起こり得ます。一方で、以前と比べて物忘れが目立つようになったり、これまでできていたことがうまくできなくなったりした場合には、「年齢のせい」とすべて片づけず、自分自身や家族の日常生活の変化に目を向けることが、MCIの早期発見につながります。

関連記事

※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。