トースト、焼き魚…食欲そそる「こんがり料理」で“老化“が進行する…?原因と対策を管理栄養士が解説

こうした焼き色や香ばしさが生まれる反応は、実は「糖化」と深い関わりがあり、糖化によって体内で生まれる物質の一つが「AGEs」です。
では、糖化とはそもそもどのような反応なのでしょうか? 食欲の秋に知っておきたい、糖化とAGEsについて、管理栄養士が解説します。
執筆

「食と健康に悩む人が安心して戻れる場所をつくる」をモットーに、栄養・健康分野の記事執筆を行う。延べ1,200名以上の食事相談に携わった現場経験をもとに、科学的根拠をわかりやすく日常の言葉に翻訳することを得意とする。沖縄県在住で琉球料理の普及・伝承活動も行っている。趣味は健康。
目次
そもそも「糖化」「AGEs」って何?
「糖化」とは、体の中の余分な糖とたんぱく質などが結びつき、AGEs(終末糖化産物、エイジズ)と呼ばれる物質が生成される反応のことです。
これは、1912年に発見された「メイラード反応」と呼ばれるもので、パンや肉を加熱したときに焼き色や香ばしさが生まれる反応としても知られています。
体内では高温で加熱するわけではありませんが、同じように糖とたんぱく質などが反応し、時間をかけてAGEsが生成されます。
体内に蓄積したAGEsは、細胞に負担をかけたり、老化に関わるさまざまな反応に関与したりすると考えられています。
糖化反応そのものをすべて悪いものと考える必要はありませんが、近年では、体内で生成・蓄積するAGEsと健康との関わりが注目されています。
AGEsが増えやすい食習慣とは?
揚げる・焼く・炒めるなど、高温で水分の少ない調理では、煮る・蒸す・茹でるといった調理に比べて、食品中のAGEsが多く生成されることが明らかになっています。
とくに、加熱温度が高く、焼き色がつくような調理ほど、AGEsは増えやすい傾向があります。例えば、次のような方は、AGEsの摂取量が多くなりやすい可能性があります。
・唐揚げやとんかつなど揚げ物のおかずが好きで、毎日のように食べている
・パンが好きで、ご飯を食べる機会が少ない
・スナック菓子やクッキー、ケーキなどの焼き菓子の摂取が多くなりがち
・煮物や和え物などのおかずの摂取が少ない
・生野菜のサラダや果物の摂取が少ない
食事から摂取するAGEsが、長期的に人の健康や老化にどの程度影響するのかについては、まだ明確になっていませんが、AGEsを控えた食事によって、血中のAGEs量が減少したという研究もあり「AGEsの摂りすぎを防ぐことは、少なくとも血中のAGEs量という点ではメリットがありそうだ」ということは分かっています。
AGEsと血糖値、毎日の食事でできること

糖化を考えるときは、食品から摂るAGEsだけでなく、体の中でAGEsがつくられることにも目を向けてみましょう。
そのためには、AGEsを多く含む料理に偏らないようにすることに加え、血糖値が高い状態が続かないよう、食べ方を工夫することも大切です。
ここからは、毎日の食事でできる具体的な方法を見ていきましょう。
●AGEsを増やしにくい調理法を取り入れる
まずは、食事から摂るAGEsを増やしすぎないための工夫です。
AGEsは、食品を高温で加熱することで増えやすいため、焼く・揚げる調理だけに偏らず、煮る・蒸す・茹でるなどの料理も取り入れてみましょう。
・揚げ物の頻度を落とす
・煮る・蒸す・茹でる・生の主菜を意識して取り入れる(例:煮魚、肉じゃが、刺身、水炊きやしゃぶしゃぶ、湯豆腐など)
・生野菜や温野菜を意識して取り入れる
・ケーキやクッキー、ドーナツなどの頻度を落とす
・焼かない・加熱の少ない間食やスイーツも楽しむ(例:果物、ヨーグルト、ゼリー、水ようかん、ロースイーツ)
●生野菜やゆで・蒸し野菜を先に食べる
食事の最初に野菜サラダやおひたし、ゆで・蒸し野菜などの副菜を食べ、その後にご飯を食べることで、食後の血糖値の上昇がゆるやかになるという「ベジファースト」をご存知の方も多いのではないでしょうか。
実際にさまざまな研究で、野菜を先に食べることで食後の血糖値の上昇がゆるやかになったということは分かっています。
血糖値の上昇をゆるやかにすることに加え、AGEsの摂取量も意識できるため、糖化を考えるうえでは一石二鳥です。
●よく噛んで、ゆっくり食べる
ゆっくり時間をかけて食べることも、食後の血糖値の急上昇をゆるやかにし、糖化ストレスを抑える工夫のひとつとして勧められています。
まずは、いつもの食事より一口につき5回多く噛むことを意識してみましょう。噛むあいだは一度箸をおくこともおすすめです。
よく噛んで食べることで食事の満足感も得やすくなり、食べ過ぎを防ぐことにもつながります。
●精製度の低い主食を取り入れる
血糖値の上昇をゆるやかにするには、玄米、全粒粉パン、そばなど、精製度の低い主食を選ぶのもおすすめです。
白米や食パンなどの精製された主食は、玄米や全粒粉パンなどに比べて消化・吸収が速く、食後の血糖値が上昇しやすい傾向がありますが、玄米など未精製穀物の主食には食物繊維を含むものも多く、食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることが期待できます。
まとめ|糖化と上手につき合って食生活を楽しもう
糖化は、体内で自然に起こる反応の一つです。だからこそ、AGEsを極端に避ける必要はありません。
大切なのは、ひとつの食品や調理法だけに偏るのではなく、日々の食事全体を見渡して、さまざまな食材や調理法を組み合わせること。
こうした食事全体のバランス感覚が、健やかに過ごすための食生活につながるのではないかと考えています。
糖化・AGEsをきっかけに、いつもの食事を少し見直しながら、これからの食生活を楽しんでみませんか。
【参考文献】
・公益社団法人日本薬学会「万病のもと『糖化産物』」
・齋藤充生「電子レンジで老化は起こるのか:食品中のAGEからの考察」ヘルスヴィジランス研究会, 2018.
・白河潤一・永井竜児「生体におけるメイラード反応の影響」化学と生物, 53(5), 299-304, 2015.
・Semba RD, Novotny JA, et al. "Dietary Intake of Advanced Glycation End Products Did Not Affect Endothelial Function and Inflammation in Healthy Adults in a Randomized Controlled Trial." The Journal of Nutrition, 144(7), 2014.
・Tanaka T, Sakamoto H, Matsuoka R, Utsunomiya K. "Ingestion of vegetable salads before rice inhibits the increase in postprandial serum glucose levels in healthy subjects." Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 87(10), 1212-1218, 2023.
・厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「糖尿病の食事」
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※本記事は、健康な成人の方を対象とした一般的な情報をまとめたものです。疾患がある方、治療中の方、服薬中の方、食事制限について指示を受けている方は、かかりつけの医師や管理栄養士などの専門家にご相談ください。
