なすは「栄養がない」ってホント?毎日食べてもいいの?皮に含まれる「ナスニン」と調理法の注意点

なすに含まれる栄養素や期待できる働き、栄養を生かす調理法、毎日食べる際の注意点について、たいや内科クリニックの管理栄養士・林安津美(はやし あつみ)さんに解説してもらいました。
専門家紹介
大学卒業後、JAあいち厚生連で37年間病院管理栄養士として勤務し、豊田厚生病院・安城更生病院では17年間技師長を務める。2022年5月より、たいや内科クリニックに勤務。病態栄養専門管理栄養士、日本糖尿病療養指導士、腎臓病療養指導士、がん病態栄養専門管理栄養士、和漢薬膳師などの資格を有し、一人ひとりの思いや生活背景に寄り添ったテーラーメイドの栄養指導を実践している。
目次
「なすは栄養がない」と言われることがありますが、本当なのでしょうか?
「なすは栄養がない」と言われることがありますが、これは誤解です。

なすには、どのような健康効果が期待できるのでしょうか?
抗酸化作用、血圧の維持、腸内環境の改善、体重管理などに期待ができます。

1.抗酸化作用(ナスニン)
なすの皮の鮮やかな紫色は、ポリフェノールの一種であるナスニンによるものです。ナスニンには抗酸化作用があることが、実験研究で確認されており、体内で過剰に発生した活性酸素による酸化ストレスを抑える働きがあります。
活性酸素が増えすぎると細胞が傷つき、動脈硬化や生活習慣病などとの関連が指摘されています。そのため、抗酸化成分を含む食品を日常的に取り入れることは健康維持に役立つとされています。ナスニンは皮の部分に多く含まれるため、皮ごと食べるのがおすすめです。
2.血圧の維持(カリウム)
なすにはカリウムが含まれています。カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)の排出を促す働きがあり、塩分の摂り過ぎが気になる方や、高血圧予防のための食生活を心掛けている方にも役立つ栄養素です。
ただし、腎機能が低下している方はカリウムの摂取制限が必要な場合があるため、医師や管理栄養士の指示に従いましょう。
3.腸内環境の改善・血糖値の急上昇を抑える(食物繊維)
なすには水溶性・不溶性の食物繊維が含まれています。食物繊維は便通を整えて腸内環境の改善に役立つほか、食事全体の糖質の吸収を緩やかにすることで、食後の血糖値の急上昇を抑える効果も期待できます。
4.低エネルギーで体重管理にも役立つ
なすは90%以上が水分で、100gあたり約18kcalと低エネルギーな野菜です。油を吸いやすい性質はありますが、調理法を工夫すればボリューム感を保ちながらエネルギーを抑えることができます。
電子レンジや蒸し調理、焼きなすなどを活用すると、余分な油を控えながらおいしく食べられます。
なすの健康効果をより引き出すために、食べ方や調理法で意識すべきポイントはありますか?
なすの健康効果をより引き出すには、「皮ごと食べること」「油の使い方を工夫すること」「ほかの食材と組み合わせること」がポイントです。

まず、皮はできるだけむかずに食べましょう。なすの皮には、紫色の色素であるポリフェノール「ナスニン」が豊富に含まれています。
ナスニンには抗酸化作用があり、活性酸素による細胞へのダメージを抑える働きが期待されています。そのため、焼きなすや炒め物など、皮ごと調理することで効率よく摂取できます。
また、なすは油との相性が良い野菜です。ナスニンは水溶性ですが、なすには脂溶性の成分も含まれており、適量の油を使うことで風味が増し、満足感も得られます。
ただし、なすは油を吸いやすいため、油を使い過ぎるとエネルギー量が増えてしまいます。電子レンジで加熱してから少量の油で炒めたり、焼きなすや蒸しなすにオリーブオイルを少量かけたりすると、余分な油を抑えながらおいしく食べられます。
さらに、たんぱく質やほかの野菜と組み合わせることもおすすめです。例えば、鶏肉や豆腐、豚肉と合わせれば、たんぱく質を補いながら栄養バランスが向上します。
また、トマトやピーマンなどビタミンCを多く含む野菜と組み合わせると、彩りも良く、さまざまな栄養素を一度に摂取できます。
なすはアク抜きのために水にさらすことがありますが、長時間水に浸けると、風味も損なわれることがあります。
苦味や変色が気になる場合は、5~10分程度を目安に水にさらせば十分であり、科学的にもこの程度でポリフェノールの酸化を抑える効果が期待できます。
新鮮ななすであれば、調理方法によっては水にさらさずそのまま使っても問題ないことが少なくありません。また、水にさらす代わりに軽く塩をまぶしてアクを抜く方法もあります。なすのアク抜きは、料理の種類やなすの鮮度に応じて必要かどうか判断するとよいでしょう。
さらに、皮ごと調理してナスニンを無駄なく摂取することや、油を使い過ぎないよう工夫しながら、肉や魚、大豆製品などのたんぱく質やほかの野菜と組み合わせて食べることで、なすの栄養をより効率よく取り入れることができます。
なすは毎日食べても問題ないのでしょうか?また、食べ過ぎによるデメリットはありますか?
基本的に、なすは毎日食べても問題ありません。 なすは100gあたり約18kcalと低エネルギーで、水分を多く含むため、毎日の食事に取り入れやすい野菜です。

食物繊維やカリウム、ポリフェノールの一種であるナスニンなどを無理なく摂取できるため、健康的な食生活の一部としておすすめできます。
一方で、食べ過ぎにはいくつか注意点もあります。 まず、なす自体は低カロリーですが、油を吸収しやすい性質があります。
揚げびたしや天ぷら、油をたっぷり使った炒め物などを頻繁に食べると、エネルギーや脂質の摂取量が増え、体重増加につながる可能性があります。そのため、焼きなすや蒸しなす、電子レンジで加熱してから少量の油で調理する方法がおすすめです。
また、なすにはカリウムが含まれているため、慢性腎臓病などでカリウムの摂取制限が必要な方は注意が必要です。
一般的な量であれば過度に心配する必要はありませんが、医師や管理栄養士から制限を受けている場合は指示に従いましょう。
さらに、なすだけをたくさん食べるのではなく、肉や魚、大豆製品などのたんぱく質や、ほかの野菜と組み合わせて食べることが大切です。
なすは水分が多く低カロリーでありながら、ポリフェノールや食物繊維など健康維持に役立つ成分を含む野菜ですが、これだけで必要な栄養素をすべて補えるわけではありません。
健康な方であれば毎日食べても問題ありませんが、調理法や食べる量に加え、食事全体のバランスを意識することが大切です。特定の食品に偏らず、多様な野菜や食品を取り入れることが、健康的な食生活につながります。
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※本記事は、健康な成人の方を対象とした一般的な情報をまとめたものです。疾患がある方、治療中の方、服薬中の方、食事制限について指示を受けている方は、かかりつけの医師や管理栄養士などの専門家にご相談ください。


確かに、なすは水分が90%以上を占めるため、ビタミンやミネラルの含有量は、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜と比べると多くありません。
しかし、「栄養がない」というわけではなく、健康維持に役立つ成分を含んでいます。
なすには、カリウムが含まれており、体内の余分なナトリウムの排出を助ける働きがあります。また、皮の紫色はポリフェノールの一種である「ナスニン」によるもので、抗酸化作用が期待されています。
抗酸化作用は、体内で増えすぎた活性酸素から細胞を守る働きがあり、生活習慣病や老化予防の観点からも注目されています。さらに、食物繊維も含まれているため、腸内環境を整えたり、食後の血糖値の急上昇を緩やかにしたりする効果も期待できます。
つまり、なすは「特定の栄養素が非常に多い野菜」ではありませんが、ポリフェノールや食物繊維などを無理なく摂取できる野菜です。
ほかの野菜と組み合わせて取り入れることで、より栄養バランスの良い食事につながります。