「手足口病」は大人にもうつる?子どもから感染したときの症状、仕事を休む目安は【医師解説】

この記事では、手足口病の症状や感染経路、大人が感染した場合の対応、仕事を休む目安、医療機関を受診すべき症状について、「たけうちファミリークリニック」の竹内雄毅院長に解説してもらいます。
医師紹介
医学博士・小児外科専門医。京都府精華町「たけうちファミリークリニック」院長。京都府立医科大学小児外科客員講師。小児科・小児外科の診療に加えて、地域の子どもを安心して預けられる病児保育を運営し、さらに絵本の読み聞かせや離乳食教室、ベビーマッサージなどの子育てイベントも展開している。クリニックを「行きたくない場所」ではなく「行きたくなる場所」に変えることを目指し、医療を軸としたコミュニティデザインに力を注いでいる。現在は、隣接地に人が自然に集まり、安心して交流できる広場の構想を進めており、家族と地域が互いに支え合える環境を形にしていこうとしている。
目次
手足口病とはどのような病気なのでしょうか?
手足口病は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどによって起こるウイルス性の感染症です。

手足口病は大人も感染するのでしょうか? 大人が感染した場合、子どもとは症状や重症度に違いがありますか?
手足口病は子どもに多い病気ですが、大人も感染します。

子育て中の保護者、保育や教育に関わる人、医療・介護職など、子どもと接する機会が多い人は感染する可能性があります。
ただし、大人はこれまでに原因ウイルスに感染して免疫を持っていることも多いため、子どもより発症者は少ないとされています。また、感染しても症状が出ない「不顕性感染」や、軽いのどの違和感や発疹だけで終わるケースもあります。
一方、大人が発症した場合には、38度以上の発熱、強い倦怠感、頭痛、関節痛、筋肉痛など、全身症状が目立つことがあります。
手足の発疹に痛みやかゆみを伴い、歩く、物を持つ、パソコンを操作するといった日常動作がつらくなることもあります。口内炎が多発すると、食事や水分摂取が難しくなることもあります。
「大人は必ず重症になる」というわけではありませんが、症状が強く出るケースがあるのは事実です。また、手足口病に似た発疹を生じる病気には、水ぼうそう、帯状疱疹、薬疹、梅毒などもあります。
子どもとの接触歴があっても、発疹の状態だけで自己判断せず、症状が強い場合や典型的でない場合は医療機関で診断を受けることが大切です。
なお、手足口病は通常、自然に改善する病気で、原因ウイルスを直接治す薬はありません。治療は、解熱鎮痛薬の使用や水分補給など、症状を和らげる対症療法が中心になります。
大人が手足口病に感染した場合、仕事は休むべきでしょうか?
手足口病には、成人に対して法律で一律に定められた「発症後○日間は出勤禁止」という基準はありません。

そのため、仕事を休むかどうかは、本人の症状、勤務内容、職場の規定などを踏まえて判断します。
発熱、強い倦怠感、食事や水分が十分に取れない状態がある場合は、本人の療養のためにも仕事を休むことをおすすめします。口の痛みや手足の発疹が強く、通常の業務が難しい場合も同様です。
また、保育士、教員、医療・介護職、調理従事者など、乳幼児、高齢者、基礎疾患のある人、食品などに直接触れる仕事では、本人が動ける状態であっても感染対策上の配慮が必要です。
出勤の可否について、勤務先の感染管理担当者や産業医、かかりつけ医に確認してください。テレワークが可能であれば、発熱や口腔内の症状が強い時期は在宅勤務に切り替えるのも一つの方法です。
家庭や職場での感染を防ぐためには、石けんと流水による手洗いを徹底します。とくに、トイレの後、おむつ交換後、鼻水や唾液を拭いた後、調理や食事の前には丁寧に手を洗いましょう。アルコール消毒だけに頼らず、物理的に洗い流すことが重要です。
タオル、コップ、食器、箸などの共用は避け、咳や鼻水がある間は咳エチケットを心がけます。乳幼児のおむつは適切に処理し、交換後は必ず手洗いをしてください。
ドアノブ、蛇口、トイレ周辺、おもちゃなど、頻繁に手が触れる場所を清潔に保つことも有効です。
症状が改善した後も便にはウイルスが排出されるため、「発疹が消えたら感染対策は終了」ではありません。ただし、ウイルス排出がなくなるまで何週間も仕事を休むことは現実的ではないため、体調が回復して復帰した後も手洗いを継続することが大切です。
手足口病で受診する場合の目安を教えてください
手足口病は自然に改善することが多く、全身状態が良く、水分が取れている場合には、必ずしも緊急受診が必要な病気ではありません。

ただし、口の中の痛みによって水分が取れなくなると、脱水症を起こすことがあります。
子どもの場合は、尿の回数が明らかに少ない、半日近く尿が出ない、口の中が乾いている、泣いても涙が出ない、ぐったりしている、飲み物をほとんど受け付けないといった症状があれば、早めに小児科を受診してください。
乳幼児は脱水が進みやすいため、少量ずつでも水分を取れているかを確認することが重要です。
大人の場合も、水分や食事を取れないほど口の痛みが強い、高熱が続く、発疹の痛みが強い、症状が1週間程度たっても改善しない場合には受診をおすすめします。
また、発疹が急速に広がる、膿が出る、強く腫れるなどの症状がある場合は、細菌による二次感染や別の皮膚疾患の可能性も考える必要があります。
とくに注意したいのが、激しい頭痛、繰り返す嘔吐、呼びかけへの反応が鈍い、意識がもうろうとする、けいれん、ふらつき、呼吸が苦しい、胸の痛みなどの症状です。
手足口病では非常にまれですが、髄膜炎、脳炎、心筋炎などの重い合併症が起こることがあります。これらの症状がみられた場合は、夜間や休日であっても救急医療機関への相談・受診が必要です。
受診する診療科は、子どもであれば小児科、大人であれば内科が基本です。
発疹の診断が難しい場合や皮膚症状が中心の場合には、皮膚科でも対応可能です。受診前に医療機関へ電話し、家族や周囲に手足口病の人がいること、発熱や発疹があることを伝えておくとスムーズです。
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。


名前のとおり、口の中、手のひら、足の裏や足の甲などに、小さな水疱や赤い発疹が現れるのが特徴です。お尻、膝、肘、腕や脚など、手足以外の場所に発疹が広がることもあります。
感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、一般的に3~6日程度です。発熱、のどの痛み、食欲低下などから始まり、その後に口内炎のような水疱や皮膚の発疹が出てくることがあります。一方で、熱がほとんど出ない人や、発疹だけがみられる人もいます。
口の中の水疱は破れると痛みが強くなり、とくに小さな子どもでは、水分や食事を嫌がる原因になります。
多くの場合は数日から1週間程度で自然に改善し、発疹も1週間から10日ほどで目立たなくなります。原因となるウイルスの種類によっては、回復から数週間後に爪が浮いたり剥がれたりすることがありますが、多くは新しい爪が生えてきます。
感染経路は、咳やくしゃみに含まれるしぶきによる「飛沫感染」、ウイルスが付着した手や物を介する「接触感染」、便に排出されたウイルスが口に入る「糞口感染」です。
症状が治った後も、便の中には数週間以上ウイルスが排出される場合があるため、回復直後だけでなく、日頃からの手洗いと排泄物の適切な処理が重要です。