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18年ぶりの制度変更。診療科名「睡眠障害」の追加で医療機関・患者はなにが変わる?

公開日: 2026年06月16日
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2026年6月から、医療機関が標榜できる診療科名に「睡眠障害」が追加されました。診療科名が追加されるのは2008年以来、18年ぶりです。

今回の制度変更によって医療機関にはどんな変化があるのでしょうか?また、患者側にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

金沢駅前内科・糖尿病クリニックの小倉慶雄 院長に解説してもらいました。

医師紹介

金沢駅から徒歩3分の金沢駅前内科・糖尿病クリニックで、「糖尿病」「肥満」「甲状腺」の専門的な治療を提供。患者の生活スタイル・習慣と病状に合わせた最適な治療を得意としている。

2026年6月から診療科名に「睡眠障害」が追加されました。これによって医療機関では何が変わるのでしょうか?

今回の制度変更によって、医療機関は「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」「睡眠障害耳鼻咽喉科」などの標榜が可能になりました。

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今回の制度変更は、医療機関が看板やホームページ、広告などに表示できる「診療科名」に関するルールの変更です。

これまで医療機関が標榜できる診療科名には一定の決まりがあり、自由に好きな名称を掲げられるわけではありませんでした。今回、厚生労働省は、既存の診療科名と組み合わせて表示できる疾病・病態として、新たに「睡眠障害」を追加しました。

これにより、たとえば「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」「睡眠障害耳鼻咽喉科」、そして夜間の排尿トラブルと関連の深い「睡眠障害泌尿器科」などのような標榜が可能になります。

【注意したいポイント】

「睡眠障害科」という新しい診療科が全国一律に新設されるわけではありません。あくまで、内科、精神科、耳鼻咽喉科、泌尿器科などの既存の診療科名と「睡眠障害」を組み合わせて、医療機関が睡眠障害を診療対象としていることを、よりわかりやすく示せるようになる制度変更です。

睡眠障害には、不眠症、睡眠時無呼吸症候群、過眠症、睡眠リズムの乱れ、睡眠中の異常行動、脚のむずむず感、そして「夜中に何度もトイレに起きて眠れない」といった排尿トラブルに起因するものなど、さまざまな疾患・症状が含まれます。

原因によって必要な診療科や検査が異なるため、受診先をわかりやすく示せるようになることには大きな意味があります。

    「睡眠障害内科」などを標榜できるようになることで、患者側にはどのようなメリットがありそうですか?

    「睡眠の悩みをどこに相談すればよいのか」がわかりやすくなったことで、受診の先延ばしを減らせる可能性があります。

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    患者さんにとって最も大きなメリットは、「睡眠の悩みをどこに相談すればよいのか」がわかりやすくなることです。

    これまでも「睡眠外来」などを設けている医療機関はありましたが、標榜診療科名として「睡眠障害〇〇科」を掲げられるようになることで、ホームページや看板を見たときに、睡眠障害を専門的に診療している医療機関だとひと目で判断しやすくなります。

    睡眠の悩みは、「眠れない」だけではありません。

    • 大きないびきや睡眠中の無呼吸
    • 日中の強い眠気
    • 寝ている間に叫ぶ・暴れるといった異常行動
    • 脚がむずむずして眠れない
    • 夜中に何度も尿意で目が覚めてしまう(夜間頻尿)

    こうした症状の中には、生活習慣の見直しだけで改善するものもありますが、専門的な治療が必要な病気が隠れていることもあります。

    たとえば、高齢者に多い「夜間頻尿」は、前立腺肥大症や過活動膀胱といった泌尿器の病気だけでなく、実は睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因で夜間の尿量が増えているケースも少なくありません。

    標榜がわかりやすくなることで、患者さんが受診を先延ばしにすることを減らし、こうした複合的な原因を持つ病気の早期発見・早期治療につながると期待されます。

      これまで、睡眠に関する悩みがある人はどのような診療科にかかることが多かったのでしょうか?

      悩みの内容によって受診先が分かれることが一般的で、「自分の症状はどこに相談すればよいのか」がわかりにくい面がありました。

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      これまでは、以下にまとめたように、睡眠の悩みの内容によって受診先が分かれることが一般的でした。

      主な症状

      従来の主な受診先

      寝つけない、途中で目が覚める

      内科、精神科、心療内科

      いびき、睡眠時の呼吸停止

      呼吸器内科、耳鼻咽喉科、循環器内科

      夜中に何度もトイレで起きる

      泌尿器科、内科

      日中の強い眠気、過眠

      睡眠専門外来、精神科・神経内科

      睡眠専門外来では、不眠症だけでなく過眠症や睡眠時無呼吸症候群など、幅広い睡眠障害の診断・治療を行っています。

      不眠の背景に不安やストレスがある場合は精神科が関わり、いびきや無呼吸があれば呼吸器内科や耳鼻咽喉科が入口になります。

      また、高齢になるほど増える「夜中に何度も起きてしまう」という悩みに対しては、前立腺肥大症などの可能性を考慮して泌尿器科を受診する方が多くみられました。

      このように、睡眠障害はひとつの診療科だけで完結するとは限りません。呼吸器、耳鼻咽喉、精神・神経、循環器、そして泌尿器領域など、複数の領域が密接に関係しています。

      そのため患者さんにとっては「自分の症状はどこに相談すべきか」がわかりにくい面がありました。

      今回の制度変更により、各科が「睡眠障害内科」「睡眠障害泌尿器科」などの名称で専門性を示せるようになることで、受診先を探す際の迷いが少し軽減されることが期待されます。

        実際、どのような睡眠の悩みで受診する人が多いのでしょうか?

        まず多いのが不眠に関する相談。いびきが大きい、日中の強い眠気などの相談もあります。

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        実際の診療では、まず多いのが不眠に関する相談です。

        「布団に入ってもなかなか寝つけない」「夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)」「朝早く目が覚めてしまう」といった悩みです。

        また、家族から「いびきが大きい」「寝ている間に息が止まっている」と指摘されて受診する方も少なくありません(睡眠時無呼吸症候群の疑い)。

        さらに、泌尿器科や内科の外来で非常に多いのが「夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)」という相談です。

        夜間頻尿は「尿意のせいで目が覚める」と思われがちですが、実は「睡眠が浅いために尿意を感じて目が覚めてしまう」というケースや、前述の睡眠時無呼吸症候群によって利尿ホルモンが過剰に分泌されているケースもあります。

        そのほか、日中の強い眠気や、寝ている間に叫ぶ・暴れるといった睡眠時随伴症、脚がむずむずして眠れないといった症状での受診もあります。

        睡眠の悩みは本人が自覚しているもの(排尿回数や寝つけなさ)だけでなく、家族からの指摘(いびきや無呼吸)で初めて気づくことも多いため、周囲からの情報も大切な診断の手がかりになります。

          「ただの寝不足」と「受診したほうがよい睡眠トラブル」の違いはありますか?

          目安はいくつかありましが、居眠り運転をしそうになるほどの眠気、睡眠中に呼吸が止まっているとの指摘、寝ている間の異常行動などはとくに注意が必要です。

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          「ただの寝不足」は、仕事や育児、夜更かしなどによって一時的に睡眠時間が足りなくなっている状態です。この場合、睡眠時間を十分に確保できれば、眠気や疲労感が改善するのが一般的です。

          一方で、「睡眠の機会や環境が十分あるにもかかわらず、寝つけない・途中で目が覚める・早朝に目が覚めるなどの症状が続く場合」「しっかり寝たはずなのに日中の眠気が強い」場合は、単なる寝不足ではなく、治療が必要な病気が隠れている可能性があります。

          【受診を考えたほうがよい目安】

          • 不眠や熟眠感のなさが数週間以上続いている
          • 日中の眠気で仕事や運転中に危険を感じる
          • 激しいいびきや、睡眠中の無呼吸を指摘された
          • 寝ている間に叫ぶ・暴れる・歩き回る
          • 夜間に何度もトイレに起き、そのせいで日中の体調が優れない

          睡眠の問題は、「何時間寝たか」だけで判断することはできません。重要なのは、睡眠によって心身の疲労が回復しているか、日中に普段どおり活動できているかです。

          「トシのせいだから尿が近いのは仕方ない」「ただの寝不足だろう」と自己判断で放置せず、睡眠の質や日中の生活に影響が出ている場合は、新しく分かりやすくなる「睡眠障害〇〇科」や、かかりつけの医療機関(内科・泌尿器科など)に相談することをおすすめします。

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