夏バテは「脳」にも影響する!?猛暑に「ブレインフォグ」が急増する3つの要因【医師解説】

猛暑が続く季節、これらの不調を「夏バテかな」「ただの睡眠不足だろう」で見過ごしていませんか? じつはそれ、単なる身体の疲労ではなく、脳機能が一時的に低下する「ブレインフォグ(脳の霧)」と呼ばれる状態かもしれません。
ブレインフォグは新型コロナウイルスの後遺症として広く知られるようになりましたが、じつは「夏の脳疲労」による発症のリスクもあるそうです。
気合や根性で解決しようとすると悪化するケースも多く、「自分はだらしがない」と自分を責めてしまう人も少なくありません。しかし、これは本人のメンタルや性格の問題ではなく、過剰な負荷によって脳が悲鳴を上げている物理的なサイン。
神谷町カリスメンタルクリニックの松澤 美愛(まつざわ・みあ)院長に解説してもらいます。
医師紹介
慶應義塾大学病院初期臨床研修後、同大学病院 精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院診療に加え、救急・総合病院でのリエゾン診療、障害者支援施設や企業でのメンタルヘルス対応など、幅広い医療現場を経験。個人と社会の変化に応じた「こころのケア」を実践。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開院。精神疾患を抱える方が“自分らしさ”を取り戻すきっかけとなるよう、患者一人ひとりの背景に寄り添った診療を心掛けている。
目次
なぜ夏に「ブレインフォグ」が急増するのか?
ブレインフォグは単一の原因ではなく、生活習慣の乱れ、慢性的なストレス、ホルモンの変化、脱水症状、身体の微小な炎症などが複雑に絡み合って発生します。
とくに日本の猛暑環境下では、以下の「3重苦」によって脳が酷使され、ブレインフォグを引き起こしやすい環境が揃ってしまいます。
●夏の脳疲労を招く3大要因
1.寒暖差による「自律神経のオーバーヒート」
猛暑の屋外と冷えた室内を行き来することで、体温調節を担う自律神経がフル稼働し、脳が疲弊。
2.隠れ脱水と睡眠質の低下
発汗による水分・ミネラル不足と、寝苦しさによる浅い睡眠が脳の老廃物排出を阻害。
3.デジタルオーバーロード
室内で過ごす時間が増え、スマホやPCからの情報過多(光刺激)で脳のメモリが飽和状態に。
これらの原因よって、脳の認知機能を司るネットワークが一時的に正常に働かなくなり、まさに「頭の中に霧がかかったような状態」に陥るのです。
あなたの脳は大丈夫?「ブレインフォグ」危険度チェック
今回、自身の不調が「ブレインフォグ」が原因なのかどうかを計るためのチェックリストを作成しました。
以下の項目に当てはまるものがあるか確認してみましょう。
★頭にモヤがかかるような感覚がある
★集中力が低下したと感じる
★覚えていたはずのことが思い出せない
★話の内容の理解が進まない、複雑な話を理解できない
☆毎日必要な睡眠時間を確保できていない
☆睡眠の質がよくないと感じる
☆バランスの取れた食事が取れていない
☆加工食品や添加物の摂取が多い
☆ストレスが発散できていない
☆ストレスを溜め込みやすい生活習慣だと思う
☆運動習慣がない
☆長時間座ったままの姿勢でいることが多い
☆気分に変化がある(落ち込み、イライラ、不安など)
☆慢性的な炎症状態がある
☆イライラ、落ち込み、不安など感情の波が激しい
【判定の目安】
★に3つ以上当てはまる
→ブレインフォグの可能性が非常に高い状態です。
★に1つ以上 + ☆にいくつか当てはまる
→ブレインフォグの可能性が高い状態です。
☆にいくつか当てはまる
→今後ブレインフォグを発症する予備軍の可能性があります。
脳の霧を晴らす!今日からできる4つの「脳疲労リセット術」

ブレインフォグを改善するには、脳だけにアプローチするのではなく、身体全体の環境を整えることが近道です。
1.腸内環境を整えて脳をクリアにする(腸脳相関)
「腸は第二の脳」と呼ばれ、腸内環境の悪化は脳の炎症(認知機能低下)に直結します。糖質の過剰摂取や人工甘味料、アルコールは血糖値の急変動を招き脳を疲れさせるため控えめに。代わりに、発酵食品や青魚(オメガ3脂肪酸)、野菜を積極的に取り入れましょう。
2.朝晩の「光コントロール」で睡眠リズムを再構築
質の高い睡眠は、脳内に溜まった老廃物を洗い流す唯一の時間です。朝は太陽の光を浴びて体内時計をリセットし、夜間はスマホのブルーライトを避けて暗めの照明で過ごすことで、睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を促します。
3.「脳の余白」を作るストレスマネジメント
常に考えごとをしている脳には「敢えて何も作動させない時間」が必要です。1日数分でもデジタルデトックスを行い、ぼーっとする時間を作ったり、ぬるめのお湯に浸かって緊張を緩める習慣をつけましょう。
4.1回15分の「有酸素運動」で脳の血流をアップ
息が上がらない程度のウォーキングやジョギング(週3日、1回15~30分程度)は、脳の血流を飛躍的に改善し、脳細胞の働きを活性化させます。
ブレインフォグは脳からの「休息要請」2週間以上続く場合は医療機関へ相談を
一時的な脳疲労であれば生活習慣の改善で回復していきますが、「休んでも回復しない状態が2週間以上続いている」「仕事や生活に明らかな支障が出ている」という場合は注意が必要です。
背景に適応障害やうつ病、その他の疾患が隠れている可能性があるため、放置せずメンタルクリニックや専門医への受診を検討してください。
ブレインフォグは、怠けでも気合不足でもなく、頑張り続けてきたあなたの脳が「これ以上は無理!」と出しているSOSのサインです。無理にエンジンをふかすのではなく、まずは脳を休ませる「小さなリセット習慣」から取り入れて、快適な秋を迎える準備を整えていきましょう。
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。

